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半年以上治らなかった左アキレス腱炎
「朝起きた時がいちばんつらいんです」
そう話してくれたのは、テニスが趣味の患者さんでした。
左アキレス腱の違和感は1年前から。はっきり痛くなったのは半年前。整形外科にも通ったけれど、大きな変化はありませんでした。
特につらいのは、
- 朝起きて最初の一歩
- 階段を降りる時
- 椅子から立ち上がる時
- テニスをした後
逆に、日中しばらく動いていると少し楽になる。
アキレス腱には、コブのようなふくらみもありました。
一見すると、典型的な慢性アキレス腱炎です。
けれど、検査を始めると、物語はまったく違う方向へ進みました。
本当の犯人は、アキレス腱ではなかった
まず驚いたのは、左股関節の内旋がほとんどできないことでした。
膝を立てて股関節を内側へ回そうとしても、ほぼ動かない。代わりに、骨盤や腰が逃げる。
さらに、
- 足首の背屈制限
- 母趾MP関節がほぼ動かない
- ヒップヒンジで母指球が浮く
- 立つと反張膝
という特徴がありました。
つまり、身体は股関節で衝撃を受け止められず、親指でも踏ん張れず、最後に左アキレス腱だけで全部を止めていたのです。
まるで、チーム全員が休んでいるのに、ひとりだけ毎日残業している社員みたいな状態でした。
30年前の左膝のケガが、まだ終わっていなかった
話を聞くと、30年前にスノーボードで転倒し、左膝を強く打ったことがあるとのこと。
どこの靭帯を傷めたかは覚えていない。でも、かなり腫れた。
この古傷が、身体のクセとして残っていました。
左脚に体重を乗せるのが怖い。 だから、
- 膝を後ろへ反らせて立つ
- 股関節は回さない
- 足先だけ外へ向ける
- 親指は浮く
そんな代償が、30年かけて完成していたのです。
身体は賢いので、痛みを避けるために新しいルートを作ります。 でも、そのルートを30年使い続けると、今度はそのクセ自体が、別の痛みを生みます。
アキレス腱とつながっていた5つの場所
今回の患者さんを診ていて強く感じたのは、アキレス腱は単独で壊れていたのではなく、「身体の別の場所で起きていた問題の縮小コピー」だったということです。
特に、アキレス腱とフラクタル構造的につながっていたのは次の5つでした。
1. ハムストリング
ハムストリングは、股関節側のアキレス腱です。
本来なら、ハムがお尻を後ろへ引き、身体が前に倒れるのを止めます。 でも、この患者さんは反張膝でハムがほとんど使えていませんでした。
その結果、足首側のアキレス腱が代わりに頑張り続けていました。
2. 後頭部と首の付け根
副主訴は眼精疲労。
首の付け根を触ると、後頭下筋群がカチカチでした。
頭が前に落ちるのを首で止める。 身体が前に落ちるのをアキレス腱で止める。
上と下で、同じ「止め続けるクセ」が繰り返されていました。
3. 横隔膜と肋骨
呼吸も浅く、左下位肋骨が硬い。
肋骨が広がらないと、身体は前へ落ちやすくなります。 すると、最後にアキレス腱がブレーキ役になります。
4. 母趾MP関節と長母趾屈筋
母趾の付け根はほぼ動かず、母指球も浮いていました。
本来、歩く時の最後の踏ん張りは親指が担当します。 でも親指が働かないと、その負担は全部アキレス腱へ流れます。
5. 股関節内旋と仙腸関節
股関節が内側へ回らない。 骨盤も回らない。
すると、身体のねじれは最後に足首へ集まり、アキレス腱がねじれる。
アキレス腱のコブは、足首だけの問題ではなく、股関節から始まったねじれの終着駅でした。
最初にやったのは、アキレス腱を揉むことではなかった
意外に思われるかもしれませんが、最初にやったのはアキレス腱をゴリゴリ揉むことではありませんでした。
むしろ先にゆるめたのは、
- 後頭部と首の付け根
- 肋骨と横隔膜
- 中殿筋前部
- TFL
- 梨状筋
- 深層外旋筋
- 膝窩筋
- 腓腹筋内側頭
- ヒラメ筋
- 後脛骨筋
- 長母趾屈筋
でした。
特に膝裏の内側をゆるめた時、立った時の膝のロック感が少し減り、足首が前に出やすくなりました。
ここで初めて、「膝を反らせずに立てる」土台ができます。
母趾MP関節は、親指だけ動かしても変わらなかった
途中で、親指の付け根をいくら動かしても変わらない時期がありました。
でも原因は、母趾そのものではありませんでした。
- 足首が硬い
- 距骨が前に詰まる
- 第一中足骨が浮く
- 後脛骨筋と長母趾屈筋が働かない
そのせいで、親指の付け根はずっと閉じたままでした。
そこで、
- 距骨を後ろへ戻す
- 第一中足骨を足裏側へ沈める
- 母趾MP関節を牽引する
- 種子骨を動かす
- 長母趾屈筋を再教育する
という順番に変えると、少しずつ母指球が床につくようになってきました。
最後に必要だったのは、ヒップヒンジだった
いちばん変化が出たのは、最後にヒップヒンジを入れた時でした。
今までこの患者さんは、前に倒れそうになるたびに、
- 膝を反らす
- 親指を浮かす
- アキレス腱で止める
というパターンでした。
そこで、
- 膝を少しゆるめる
- 母指球を床につける
- 左のお尻を左斜め後ろへ引く
というヒップヒンジを練習。
すると、身体を止める仕事が、
アキレス腱 → ハムストリングと股関節
へ移り始めました。
患者さん自身も、
「立ち上がりが軽い」 「階段が少し楽」 「テニス後の違和感が前より少ない」
と話してくれました。
まとめ
慢性アキレス腱炎は、アキレス腱だけを治療しても、なかなか変わらないことがあります。
特に、
- 昔の膝のケガ
- 股関節の内旋制限
- 反張膝
- 母趾の硬さ
- 母指球が浮く
がある人は、アキレス腱は最後に悲鳴を上げているだけかもしれません。
身体は、ひとつの場所だけで動いていません。
頭、肋骨、股関節、膝、足首、親指。 それぞれが、同じクセを別の場所で繰り返しています。
だからこそ、本当に見るべきなのは「痛い場所」ではなく、「その痛みを代わりに作っている場所」です。
半年治らなかったアキレス腱炎が、もしなかなか変わらないなら。 アキレス腱から少し離れて、身体全体のつながりを見直してみてください。
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