
「最近、なんだか息が浅い気がする」
「深呼吸しようとしても、胸しか膨らまない」
「寝ても疲れが取れにくい」
そんな悩みを抱えていませんか?
ストレスや自律神経の乱れなど、呼吸が浅くなる原因はさまざまに言われますが、実は“横隔膜がうまく動いていない”ことが根本の原因になっているケースが非常に多いのです。
そして、その横隔膜の動きに影響を与えている意外な筋肉こそが、**腸腰筋(ちょうようきん)**です。
目次
横隔膜の働きとは?【呼吸の主役】
私たちが無意識に繰り返している「呼吸」ですが、吸う息の約70%を担っているのが横隔膜です。
横隔膜は胸とお腹の間にあるドーム状の筋肉で、吸気の際に収縮し、下に押し下がることで肺を広げて空気を取り込む役割があります。
つまり、横隔膜がしっかり動くことは、「深い呼吸」にとって欠かせない条件。
逆に、横隔膜の動きが制限されると、肺の下部まで空気が入らず、呼吸は浅く・速くなってしまうのです。
横隔膜が動かない原因:実は腸腰筋にあった!
では、なぜ横隔膜の動きが悪くなるのでしょうか?
その原因のひとつとして見落とされがちなのが、腸腰筋の硬さや緊張です。
腸腰筋は、腰椎と大腿骨をつなぐ体幹の深部にある筋肉で、以下の3つの筋肉から構成されます:
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大腰筋:腰椎〜大腿骨
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小腰筋(人によって欠如):腰椎〜恥骨
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腸骨筋:腸骨〜大腿骨
この中でも、大腰筋は横隔膜と非常に近い位置にあり、筋膜で連結しているため、腸腰筋が硬くなると横隔膜の動きも制限されてしまうのです。
実際に、大腰筋と横隔膜は体幹の深層で「インナーユニット」として連動して働いており、どちらかが硬くなると、もう片方にも影響が及びます。
腸腰筋が硬くなると何が起きる?
腸腰筋が硬くなると、単に股関節の可動域が制限されるだけでなく、全身にさまざまな悪影響が出てきます。特に注目すべきは、姿勢の崩れによる呼吸の質の低下です。
🔻 腸腰筋の硬さがもたらす連鎖
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骨盤が前傾 → 反り腰になる
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肋骨が前方に突出 → 胸郭が硬くなる
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胸郭の可動性が落ちる → 横隔膜が下がりづらい
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結果:呼吸が浅く、胸式呼吸に偏る
こうして、深い腹式呼吸ができなくなるだけでなく、交感神経が優位になりやすく、疲労感や不眠、集中力低下などの症状につながることも少なくありません。
呼吸と自律神経:浅い呼吸がもたらす悪循環
腸腰筋の緊張により呼吸が浅くなると、自律神経にも悪影響を及ぼします。
浅い呼吸では「交感神経」が優位になりやすく、これは「戦うか逃げるか」という緊張状態を保つ神経系です。結果、以下のような症状が出やすくなります。
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寝ても疲れが取れない
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不安感・焦燥感
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肩こり・頭痛・眼精疲労
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冷え性・末端の血行不良
つまり、「腸腰筋の緊張」→「横隔膜の可動制限」→「浅い呼吸」→「自律神経の乱れ」→「ストレス・不調増大」という悪循環が起きてしまうのです。
解決策①:腸腰筋をゆるめるセルフケア
横隔膜の動きを取り戻すには、まず**腸腰筋をリリース(緩める)**ことが重要です。
以下に簡単なセルフケア方法を紹介します。
🧘♀️ 仰向けでできる大腰筋ほぐし
▪ やり方
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仰向けに寝て、両膝を立てる。
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へその左右2〜3cm外側、下腹部をやや内側に向けて指で軽く押し込む。
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息を吸いながら押し、吐きながらゆるめる(5回×左右)。
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押してみて痛みや違和感がある場合は、ゆっくり深呼吸しながら圧をキープ。
※痛みが強い場合は無理せず中止し、専門家に相談を。
解決策②:横隔膜を動かす呼吸トレーニング
腸腰筋を緩めたら、横隔膜の可動性を高める呼吸トレーニングを行いましょう。
🎈 風船呼吸エクササイズ
▪ やり方
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椅子に座り、風船を口にくわえる。
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鼻から大きく息を吸い、腹を膨らませる(腹式呼吸)。
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吐くときは、口をすぼめて「ゆっくり長く」風船を膨らませる。
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5〜10回ほど繰り返す。
風船がなければ、口をすぼめてゆっくり細く吐くだけでもOKです。
まとめ:腸腰筋をゆるめて“呼吸の質”を取り戻そう
呼吸が浅くなる原因は、必ずしも「肺」や「メンタル」だけではありません。
見落とされがちですが、腸腰筋という深層筋が横隔膜の動きに大きく関係しているのです。
現代人の多くが抱える反り腰や座りすぎの生活は、腸腰筋を硬くし、呼吸を浅くしてしまう大きな要因になります。
しかし、逆に言えば、腸腰筋をゆるめることで呼吸の質は大きく改善され、疲労回復・自律神経の安定・睡眠の質向上など、心身への好影響が期待できます。
最後に:深呼吸できるカラダへ
「最近、深呼吸ができないな」と感じているなら、
それは“呼吸”の問題ではなく、“腸腰筋”の問題かもしれません。
当院では、腸腰筋と呼吸に着目した整体アプローチも行っています。
「呼吸のしづらさ」や「不調の根本原因」が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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