食べ物や飲み物を口から胃へ安全に運ぶための「飲み込みの力」のことを嚥下機能と言います。この機能は、舌・咽頭・喉頭・食道など複数の筋肉と神経が協調して働くことで成り立っています。嚥下がスムーズにできることで、栄養摂取が安全に行え、健康な生活が維持されます。
しかし、この嚥下機能は加齢や生活習慣、病気などで低下することがあります。「最近、水を飲んでむせやすい」「食事がスムーズに飲み込めない」という症状は、嚥下機能の低下を示すサインかもしれません。
目次
嚥下機能が低下する主な原因
嚥下機能低下の背景には、以下のような要因があります。
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加齢による筋力低下(サルコペニア)
舌や喉の筋肉の筋力低下は、飲み込みの力を弱めます。 -
神経疾患
脳梗塞、パーキンソン病、認知症などは嚥下反射や協調運動を妨げます。 -
口腔機能低下(オーラルフレイル)
噛む力や舌の動きが悪くなると、嚥下機能にも影響します。 -
口呼吸や不良姿勢
頭が前方に出る猫背姿勢や口呼吸は、舌の正しい位置を崩し、嚥下に必要な動きを妨げます。 -
その他の要因
口腔乾燥(ドライマウス)、逆流性食道炎、頸椎の変形などもリスクとなります。
嚥下機能の低下を放置すると起こるリスク
嚥下機能低下を軽視すると、以下の重大な健康リスクを招きます。
1. 誤嚥性肺炎
食べ物や飲み物が誤って気管に入る「誤嚥」は、肺炎の大きな原因です。特に高齢者では命に関わるケースもあります。
2. 栄養不良・体重減少
飲み込みにくさから食事量が減ると、低栄養やフレイル(虚弱)に直結します。
3. 生活の質(QOL)の低下
「むせるのが怖くて食事が楽しめない」「外食を避ける」など、社会参加の減少や心理的ストレスにもつながります。
嚥下機能低下のサインとセルフチェック方法
次のような症状がある場合、嚥下機能低下のサインかもしれません。
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水やお茶でよくむせる
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食事に時間がかかる
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口の中に食べ物が残りやすい
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声がガラガラになる
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最近体重が減ってきた
簡単なセルフチェックとして、「30秒間で何回唾を飲み込めるか」を試す方法があります。2回以下なら嚥下機能の低下が疑われます。
嚥下機能を改善するための基本対策
嚥下機能を守るためには、日常生活での工夫が大切です。
食事の工夫
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柔らかいものを選ぶ
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とろみをつける
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少量ずつ口に入れる
姿勢の改善
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背筋を伸ばし、頭が前に出ないようにする
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椅子にしっかり座り、足を床につける
嚥下筋を鍛えるトレーニング5選
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舌エクササイズ
舌を上顎に押し付けて5秒キープを10回 -
あいうべ体操
「あ・い・う・べ」と口を大きく動かすことで舌・口輪筋を強化 -
シャキア運動(舌骨上筋強化)
仰向けで頭を軽く持ち上げ、顎を引く動作を10回 -
嚥下リハビリの「ごっくん練習」
唾液をしっかり飲み込む練習を繰り返す -
頬膨らませ運動
口の中に空気をためて左右に移動
整体でサポートできる嚥下改善アプローチ
整体では、嚥下に関係する舌骨上筋群・頸部筋群・胸鎖乳突筋の緊張を整え、頭部前方位や猫背を改善することで、飲み込みやすい姿勢を作ることが可能です。また、顎の位置や舌の安定にもつながるため、口腔機能全体のサポートができます。
まとめ:早めの対策で安全な食生活を守ろう
嚥下機能の低下は、放置すると誤嚥性肺炎や栄養不良など命に関わる問題につながります。早めの気づきと、日常のセルフケア・専門家のサポートを取り入れることが大切です。
「最近むせやすい」「飲み込みに不安がある」という方は、今日からできる舌トレーニングを始めてみてください。そして、姿勢や首・顎のバランス改善は整体でサポートできますので、気になる方はご相談ください。
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