ダイエットといえば「カロリー制限」が王道の方法の一つです。確かに摂取カロリーを減らせば体重は落ちやすくなります。しかし、無理な制限を続けていると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。それが「低血糖」です。
「最近ダイエットを始めてから、めまいやふらつきが増えた」
「夜になると異常な食欲が襲ってくる」
「集中できずイライラすることが多い」
こうした不調がある場合、単なる疲れや気のせいではなく、カロリー制限によって血糖が下がりすぎているサインかもしれません。本記事では、低血糖が体にどんな影響を及ぼすのかを、自律神経やホルモンバランスも含めて解説します。
目次
低血糖とは?体がエネルギー不足に陥るメカニズム
血糖とは、血液中に含まれるブドウ糖の量を指します。ブドウ糖は脳や筋肉にとって最も重要なエネルギー源です。通常、私たちの体は食事から得た糖質を分解してブドウ糖をつくり、それを血液にのせて全身へ届けます。
しかし、カロリー制限で糖質やエネルギーを極端に減らすと、体内のブドウ糖が不足します。体は代わりに肝臓で糖をつくったり、脂肪を分解してエネルギーに変えようとしますが、対応が追いつかないと「低血糖」という危険な状態に陥るのです。
血糖値が下がると脳が「エネルギー不足で危険だ!」と判断し、交感神経を刺激して血糖を上げようとします。その結果、体にはさまざまな不調が現れるのです。
低血糖でまず現れる症状(めまい・ふらつき・強い空腹感)
低血糖が起こると最初に出るのは、比較的わかりやすい症状です。
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めまい、立ちくらみ
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手足の震え
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冷や汗
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動悸
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強い空腹感
これらは交感神経が興奮し、体に「もっと糖を入れて!」と信号を送っている状態です。特に空腹感は強烈で、我慢できずにドカ食いをしてしまう人も少なくありません。これは、ダイエットの努力を台無しにするリバウンドの原因となります。
脳に起こる影響:集中力低下・イライラ・不安感
脳は全エネルギーの約20%を消費する大食い器官です。そのほとんどをブドウ糖に依存しています。血糖が不足すると、脳は真っ先にエネルギー不足に陥り、以下のような症状が現れます。
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集中力が続かない
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記憶力が落ちる
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イライラしやすい
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不安感や気分の落ち込み
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ひどい場合は頭痛や意識消失
仕事や勉強のパフォーマンスが落ちるだけでなく、メンタル面にも影響するため、うつ症状や不安障害のきっかけになることもあります。
自律神経の乱れ:動悸・冷や汗・不眠の悪循環
低血糖が起こると交感神経が優位になり、心臓をドキドキさせ、発汗を促します。これが「動悸」「冷や汗」として表れるのです。
さらに、交感神経が夜になっても過剰に働き続けると「眠れない」「寝てもすぐ目が覚める」といった不眠が起こります。すると翌日はさらに疲れやすく、血糖コントロールも乱れやすくなるという悪循環に陥ります。
ホルモンバランスへの影響:生理不順・疲れやすさ・ストレス増大
低血糖が続くと、体は「飢餓状態」と認識し、代謝を落としてでも命を守ろうとします。その結果、ホルモン分泌にも影響が及びます。
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コルチゾール(ストレスホルモン)の増加 → 疲労感・不安感が強くなる
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女性ホルモンの乱れ → 生理不順や無月経のリスク
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成長ホルモンの分泌低下 → 筋肉が減り、痩せにくくなる
つまり、低血糖を繰り返すと「やせにくい体」「疲れやすい体」に変わってしまうのです。
長期的なリスク:リバウンド・免疫力低下・メンタル不調
一時的な低血糖なら休養や食事で回復しますが、慢性的に続くと深刻なリスクを招きます。
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リバウンドしやすくなる(過食と省エネ体質の悪循環)
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免疫力低下(風邪や感染症にかかりやすい)
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自律神経失調症やうつ病につながる可能性
「痩せたけど元気が出ない」「気分が落ち込みやすい」という声の背景には、低血糖が隠れているケースも少なくありません。
低血糖を防ぐ安全なカロリー制限のポイント
では、どうすれば低血糖を避けながら安全にダイエットできるのでしょうか?ポイントは次の通りです。
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極端なカロリー制限をしない(必要量の10〜20%減を目安に)
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PFCバランスを整える(特にタンパク質と脂質を削りすぎない)
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低GI食品を選ぶ(玄米・オートミール・豆類など)
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間食をうまく活用(ナッツ・ヨーグルト・ゆで卵など)
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睡眠とストレス管理も重視(血糖コントロールに直結する)
まとめ:痩せるより大切なのは“健康を保つこと”
ダイエットは健康のために行うものです。しかし、無理なカロリー制限によって低血糖を繰り返せば、心身を壊してしまいます。
体重計の数字にとらわれすぎず、バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけましょう。痩せることよりも「元気に動ける体」を目指すことこそ、真のダイエット成功といえるのではないでしょうか。
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