便秘・下痢を繰り返すあなたへ。お腹の不調は“足元”から始まっているかも

便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群（IBS）。多くの方が、「お腹の問題はお腹だけが原因」と考えがちです。もちろん、食生活やストレスは大きな要因ですが、実は身体の他の部分、とくに「足元」の状態が腸の調子に大きく影響していることをご存じでしょうか？

身体はすべてがつながっている一つのユニット。足元のゆがみや姿勢の崩れが、骨盤や背骨を通じて内臓の位置や動きを変え、結果として腸の働きにも悪影響を与えるのです。今回は、そんな「足元」と腸の意外な関係について詳しく解説していきます。

過敏性腸症候群とは？

過敏性腸症候群（IBS）は、便秘と下痢を繰り返したり、お腹の張りや痛みを感じたりする機能性の消化管障害です。原因ははっきりと分かっていませんが、ストレスや食生活の乱れ、腸内環境のバランスの崩れなどが関与していると言われています。

しかし、病院の検査で器質的な異常が見つからないことも多く、「心の問題」とだけ片付けられてしまうケースも少なくありません。だからこそ、身体全体のバランスを整える視点が重要になってきます。

私たちの身体は筋肉や骨だけでなく、筋膜という薄い膜で全身が包まれています。この筋膜は全身を連結しており、ある部分のゆがみや硬さは他の部分に波及します。

内臓も例外ではなく、骨盤や背骨、さらには胸郭の動きによって支えられています。特に腸は骨盤の中で広がり、周囲の筋肉や筋膜に守られているため、骨盤の位置や背骨の歪みは腸の動きや位置に大きな影響を与えます。

意外かもしれませんが、足元のゆがみは骨盤の傾きを作り出します。足のアーチが崩れたり、片足に体重がかかりすぎると、骨盤は左右や前後に傾いてしまいます。

この骨盤の傾きが、腸を含む内臓の位置をずらし、圧迫やねじれを引き起こします。例えば、骨盤が前傾しすぎると、腸が前に押し出され過敏になりやすく、逆に後傾すると腸の動きが鈍りやすくなる傾向があります。

腸は自律神経の支配を受けており、呼吸や姿勢の影響を大きく受けています。私たちが呼吸をすると横隔膜が上下に動き、この動きが腸のマッサージ効果となって、腸の蠕動運動を助けています。

しかし、猫背や反り腰などの姿勢不良や、歩き方の癖によって、横隔膜や大腰筋、腸間膜といった腸の動きを助ける筋肉の動きが制限されてしまいます。そうなると腸のリズムが乱れ、便秘や下痢を引き起こしやすくなるのです。

過敏性腸症候群のタイプや症状は人それぞれですが、身体のゆがみや姿勢パターンにも特徴があります。

猫背＋反り腰タイプ

胸が閉じて背中が丸まり、お腹が前に突き出る姿勢。骨盤が前傾しやすく、腸が圧迫されてガスや張りを感じやすいガス型IBSの方に多い傾向です。
片足重心タイプ

日常的に片足に体重をかけるクセがあり、骨盤が左右に歪んでいます。特に左腹部の腸の動きが停滞しやすく、ねじれも起こりやすいです。
座りすぎタイプ

長時間座り続けると骨盤底筋が弱くなり、直腸の感覚が鈍ることがあります。このことが便秘を招きやすく、腸の調子を乱す原因に。

では、具体的にどんなセルフケアで足元や骨盤、姿勢を整えれば良いのでしょうか。

足裏刺激

足裏には全身の反射区が集まっています。自宅で簡単にできるのは、テニスボールやゴルフボールで足裏をゴロゴロと刺激する方法です。血流改善や足のアーチを整える効果が期待できます。
ふくらはぎのリリース

ふくらはぎの筋肉が硬くなると足の動きが制限され、歩行に影響します。ストレッチやマッサージで柔軟性を高めましょう。
骨盤を動かす「ゆらし」体操

仰向けで膝を立てて左右にゆっくり倒すだけの簡単な動きです。骨盤周りの筋膜の緊張をほぐし、骨盤の歪みを整えます。
深呼吸と“足の安定”をセットで意識

深呼吸で横隔膜を動かしながら、足の裏をしっかり床につけることを意識することで、腸の動きを促進できます。