肘が痛いとき、まず多くの方は「腕の使いすぎかな?」と思うでしょう。
確かに、パソコン作業やスマホの操作、テニスやゴルフのように腕を酷使する動作で肘に負担がかかることはよくあります。
ただ、実際の施術現場では「前腕や肘をケアしても一時的に良くなるだけで、すぐに痛みが戻ってしまう」というケースが少なくありません。
なぜでしょうか?
それは、肘の痛みが腕そのものだけの問題ではなく、体全体の使い方や姿勢の影響を強く受けているからです。
目次
肘と胸まわりの動きの意外な関係
実は、肘の動きは「肩」や「胸まわりの柔軟性」と深くつながっています。
たとえば、腕を横から上に挙げるとき、120度以上になると胸の骨(肋骨)や背中の動きが必要になります。
胸まわりが硬いと、腕を挙げるときに肘や前腕に余計な負担がかかってしまうのです。
これは「肩がスムーズに動かないぶん、肘でカバーしようとする」という代償動作が起きるからです。
つまり、肘の痛みが長引く背景には、胸郭(胸まわりの骨格や筋肉)の硬さが潜んでいる場合が多いのです。
胸郭の硬さが肩や肘に与える負担
胸郭が硬いと、次のような影響が出ます。
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肩がスムーズに回らない → 肘で代償してオーバーワークになる
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首の動きが制限される → 前腕や手首の筋肉まで緊張しやすくなる
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呼吸が浅くなる → 全身のバランスが崩れて疲労が取れにくい
特に「胸が広がらない」「肋骨の動きが硬い」タイプの人は、腕を使ったときに負担が分散できず、肘の一点にストレスが集中してしまいます。
肘の痛みを根本的に改善するには、腕だけでなく胸郭の柔軟性を取り戻すことが重要になるのです。
下半身の歪みが肘痛を悪化させるメカニズム
「肘と下半身?そんなに離れているのに関係あるの?」と思う方もいるかもしれません。
でも、体は一本のつながりでできています。
たとえば、右足に重心が偏るクセがあるとします。
すると骨盤が傾き、その影響で胸郭の動きが偏ってしまいます。
胸郭がうまく動かないぶん、肩がスムーズに回らなくなり、その負担が最終的に肘にやってくる。
つまり、足の使い方 → 骨盤の傾き → 胸郭の硬さ → 肩の制限 → 肘への負担という流れで、下半身からの影響が肘にまで及んでいるのです。
右足重心や骨盤の傾きが腕に伝わる理由
よくあるのが「右足に体重をかけやすい人」のパターンです。
右足に重心が偏ると、右の内ももや股関節まわりの筋肉が硬くなり、骨盤が右側に引っ張られます。
すると体は自然にバランスを取ろうとして、上半身を少し左に傾けます。
その結果、胸の動きに左右差が出て、肩の動きもアンバランスになってしまうのです。
このような全身の連鎖の末に、肘だけが悲鳴をあげているケースは非常に多いのです。
肘痛改善のカギは「全身のつながり」にある
肘痛を根本から改善するためには、次の視点が欠かせません。
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胸郭の柔軟性を取り戻すこと
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呼吸に合わせたストレッチや、肋骨を広げるエクササイズが効果的。
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骨盤や下半身の歪みを整えること
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片足重心や足裏の使い方を見直すだけでも、肘への負担は軽減する。
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肩甲骨の動きを引き出すこと
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胸の硬さを取ると、肩甲骨がスムーズに動き、肘の負担が自然に減る。
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局所のマッサージやストレッチも大切ですが、それ以上に「体全体の動きをつなげる」ことが改善の近道になります。
セルフチェック:あなたの胸と下半身は硬くなっていませんか?
肘痛で悩んでいる方は、次のセルフチェックをしてみてください。
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腕を横からまっすぐ上に挙げて、耳の横までつきますか?
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深呼吸をして胸がしっかり広がりますか?
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片足立ちをすると、右か左にぐらつきませんか?
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足裏にタコやマメが片側だけできやすくありませんか?
一つでも当てはまる方は、肘痛の背景に「胸郭や下半身の硬さ」が潜んでいる可能性があります。
まとめ:肘だけでなく、体全体を見直すことが大切
肘の痛みは「使いすぎ」や「局所の炎症」だけでは説明できないケースがたくさんあります。
胸郭や下半身の硬さといった、体全体のつながりが大きく影響しているのです。
もし「肘だけケアしてもすぐに戻る」「長年肘痛が続いている」という方は、腕以外の部分に原因が隠れているかもしれません。
肘痛を本気で改善したいなら、全身を見直す視点を取り入れてみてください。
そうすることで、今まで繰り返してきた痛みのパターンから抜け出し、根本的な改善につながっていきます。
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