長時間のタイピングで手首が痛くなる経験は、多くのオフィスワーカーやクリエイターに共通しています。「手首の問題だから手首だけを休めばいい」と考えがちですが、実は肩から指先までの連動が崩れることが根本原因の場合が少なくありません。
手首はあくまで“最後の犠牲者”であり、肩や体幹、指の使い方が正しくないと、手首に過剰な負担が集中してしまいます。この記事では、手首痛の原因となる「肩〜指先の連動エラー」のメカニズムを分かりやすく解説し、今日からできる改善策まで紹介します。
目次
なぜタイピングで手首が痛くなるのか?
手首は「最後の犠牲者」
タイピング中、手首の背屈や尺屈方向の痛みを感じることがあります。しかし、その痛みの多くは肩や体幹の姿勢の乱れが原因です。肩甲骨が前に出て脇が開きすぎていたり、体幹が右回旋していたりすると、手首は不自然な角度で支えなければならなくなります。この状態で長時間キーを打つと、腱や靭帯に過剰ストレスがかかり、手首痛や腱鞘炎が起こりやすくなるのです。
「指の使い方」が全てを左右する
タイピング時に、指のMP関節(指の根元)を使わずPIP関節だけで曲げるクセがある人は多いです。PIP関節ばかりで打つと、前腕屈筋群に過度の負担がかかり、手首を背屈させるだけで圧痛が生じやすくなります。
本来、指の動きは「根元から曲げる(MP関節)」→「中間の関節(PIP)」→「先端(DIP)」の順です。この順序を無視すると、手首が力を吸収する緩衝役として働かざるを得ず、結果的に手首痛が発生します。
脇が開くと、連動がすべて崩れる
脇を開けて打つと肩甲骨が前傾・外転する
脇を開いてタイピングするクセも手首痛を招く大きな原因です。脇が身体から離れると、肩甲骨は前傾・外転し、上腕骨は外旋しやすくなります。その結果、前腕はねじれ、手首は背屈+尺屈方向に傾きます。この状態で長時間キーを打つと、橈側手根伸筋や豆状骨周囲に慢性的な圧迫がかかり、痛みが生じやすくなります。
脇の開きは体幹のねじれのサイン
右利きの人で多いのは、右肩が前に出て左骨盤が後ろに下がる「右回旋パターン」です。脇が開きすぎるのは、体幹のねじれがそのまま上肢に伝わっているサインでもあります。肩甲骨と骨盤のねじれが修正されないまま手指を使うと、手首は過剰な力を吸収する羽目になり、慢性的な痛みにつながります。
肩〜指先の“正しい連動”とは?
肩甲骨の後傾と肘の安定が指先の自由を生む
肩甲骨が安定して後傾・内転していると、肘や前腕が自然な位置に収まり、手首は力まず支えられます。肘が体側に近いほど、神経筋の伝達もスムーズになり、手指の動きが安定します。逆に肩甲骨が前に出て脇が開いていると、手首の角度を無理に調整しなければならず、痛みの原因になります。
MP関節から動くと前腕の負担が激減する
MP関節を使って指の根元から動かすことで、前腕の屈筋群や手根骨への負担が大幅に減ります。例えば「根元グーパー」の動作を意識するだけでも、PIP関節主体で打つ場合に比べて手首のストレスが軽減されます。虫様筋や骨間筋を使えるようになると、腱鞘炎の予防にも直結します。
チェックしてみよう! あなたのタイピング姿勢
以下のチェックポイントを鏡やスマホで撮影して確認してみてください。
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肩が上がっていないか?
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脇が身体から離れすぎていないか?
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手首が常に反っていないか?
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指先だけでキーを打っていないか?
手首が痛む人は、たいてい肩甲骨が前に倒れ、脇が開いて、指の根元を使わず打っている傾向があります。
改善のための簡単エクササイズ
1. 壁スクイーズ(肩甲骨後傾・内転)
壁の前に立ち、肘を90°に曲げて前腕を壁につけます。壁に軽く押しながら肩甲骨を背骨方向に寄せると、肩甲骨の後傾・内転が促されます。肩をすくめないように注意し、息を止めずに行いましょう。
2. MP関節グーパー(指の根元から動かす練習)
指の根元(MP関節)を意識してグーパーを繰り返します。PIP関節やDIP関節ではなく、指の根元から曲げ伸ばしする感覚をつかむことがポイントです。1日数回、5〜10回で十分効果があります。
3. 脇締め肘押し姿勢(肩〜指先の正しい連動再教育)
壁に肘を押し当てて肩を下げ、脇を軽く締めます。そのまま肘で壁を押しながら体幹を軽くねじると、肩〜指先の連動ラインが再教育され、手首への負担を減らせます。左右交互にゆっくり行いましょう。
まとめ
手首痛は決して手首だけの問題ではありません。肩甲骨の位置、体幹のねじれ、指の使い方といった肩〜指先の連動エラーが根本原因です。
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MP関節を使ったタイピング
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脇を締めて肩甲骨後傾・内転
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簡単な壁スクイーズや脇締め肘押しでの体幹・肩甲骨再教育
これらを意識するだけで、手首への負担は大幅に軽減されます。今日から1分でも良いので、姿勢リセットを習慣化して、手首の痛みを根本から改善しましょう。それでもなかなか改善しない場合は是非当院にご相談ください。
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