
座っているだけなのに、みぞおちに詰まるような、苦しくなるような感覚がある――。 このような訴えは、内科的な異常がないにも関わらず、多くの方が経験しています。実際に問診や身体評価をしていく中で、共通して見えてくるのが「体幹深層の筋肉(インナーマッスル)」や「姿勢不良」、「呼吸の浅さ」といった、筋膜や姿勢に関わる要素です。
ストレスや胃腸の不調を疑う方も多いのですが、実は“筋肉の硬さ”や“筋膜のねじれ”が原因となって、横隔膜や肋骨の動きが制限され、結果としてみぞおちに違和感が出るケースが非常に多いのです。
目次
深呼吸しても抜けないあなたへ。“筋膜のねじれ”に注目!
特に現代人は、長時間のデスクワークやスマートフォン操作により、背中が丸まりやすく、骨盤は後傾、肋骨は下方へ引き込まれた状態になりやすいです。すると、呼吸の中心である横隔膜がうまく動かせず、「吸ってもみぞおちが膨らまない」「息苦しい」という状態に陥ります。
さらに、筋膜は全身に張り巡らされているため、一か所の歪みやねじれが他の部位にまで波及します。例えば、股関節や首まわりの硬さが、みぞおち周囲の筋膜に緊張を与えていることもあります。
そのため、“みぞおちが苦しい”という違和感を解消するには、単に胃のあたりを揉むだけでは不十分で、体全体からのアプローチが必要になります。
ほぐすべき“意外な筋肉”ベスト3
では、実際にみぞおちの違和感を取り除くために注目すべき筋肉とはどこなのでしょうか?整体師の臨床経験と筋膜のつながりをふまえ、あまり知られていないが重要な筋肉を3つご紹介します。
第3位:腸腰筋(ちょうようきん)
みぞおちとは離れているように見えて、実は非常に深い関係にあるのが「腸腰筋」です。腸腰筋は腰椎(背骨の腰の部分)から骨盤を通って大腿骨(もも)につながる深層筋で、上体と下肢をつなぐ重要な存在です。
この筋肉が硬くなると、骨盤が後傾して猫背姿勢になりやすく、肋骨がつぶれるような形になって横隔膜の可動性が制限され、みぞおちの詰まり感につながります。
▶ セルフケア例:
-
片膝立ちでのランジストレッチ
-
仰向けで膝を抱えることで腸腰筋のリリース
第2位:肋間筋(ろっかんきん)
肋間筋とは肋骨と肋骨の間にある呼吸補助筋です。胸郭の動きに大きく関与し、特に深呼吸や咳、姿勢保持の際に使われます。
肋間筋が硬くなると肋骨の可動域が低下し、吸気時に胸が広がりにくくなります。その結果、みぞおち周辺の圧迫感や息苦しさ、閉塞感を感じることがあります。
▶ セルフケア例:
-
呼吸に合わせて側胸部をさすりながら肋骨の動きを意識する
-
フォームローラーでわき腹に刺激を入れる
第1位:横隔膜(おうかくまく)
みぞおちの違和感と最も関係が深いのが、ずばり「横隔膜」です。
横隔膜は呼吸の主力筋であり、ちょうどみぞおちの奥にドーム状に存在しています。過度な緊張や可動域の減少により、みぞおちに張りつくような重だるさや圧迫感が出ることがあります。
ストレスが強い人、自律神経が乱れがちな人は、横隔膜の動きが硬くなっていることがよくあります。逆に言えば、ここをほぐすことで「みぞおちの解放感」が劇的に変わる人も多いのです。
▶ セルフケア例:
-
仰向けで膝を立て、手をみぞおちに当てて深呼吸(腹式呼吸)
-
みぞおちを軽く押さえながら、吐く息を長くしてリラックス
セルフケアでは限界も?整体でしか届かない筋肉とは
上記の筋肉は、ある程度はセルフケアでゆるめることが可能ですが、 実際には深部にあるため「手が届かない」「うまく刺激が入らない」というケースも多くあります。
特に横隔膜や腸腰筋は、深層筋であり筋膜の層を何枚も通り抜けた奥にあるため、適切な方向や強度でのアプローチが必要です。また、体幹のねじれや左右差が強い方は、局所的にほぐすだけでは症状が再発しやすく、全身のバランス調整が重要になります。
整体では、これらの筋膜ラインのつながりを意識しながら、直接的かつ安全にアプローチを行うことが可能です。さらに、あなた自身の姿勢や呼吸のクセを評価し、再発しない体づくりをサポートすることもできます。
「最近、呼吸が浅い…」と思ったら早めの対処を
みぞおちの違和感は、最初は軽い息苦しさや不快感に過ぎなくても、放置すると自律神経のバランスを崩し、胃腸症状や肩こり、睡眠の質低下など、全身に影響が波及していくこともあります。
もしあなたが、
-
深呼吸してもスッキリしない
-
座っているだけでみぞおちが詰まる
-
最近、ストレスや疲労が抜けない
と感じているなら、まずは今回紹介したセルフケアを試してみてください。
それでも解消しない場合は、ぜひ一度、当院の整体で体の深層から整えてみませんか? 一人では届かない筋肉にしっかりアプローチし、呼吸のしやすさ、姿勢の軽さを取り戻すサポートをいたします。
あなたの「詰まりのないカラダ」を一緒に作っていきましょう。