
「雨の日になると、なんだか気分が重い…」「梅雨時期になると、やる気が出ない」
そんな経験はありませんか?
これは単なる“気のせい”ではなく、「気圧の変化」が自律神経や脳の働きに影響しているからです。最近では、こうした現象を「気象病」や「低気圧うつ」と呼び、医学的にも注目されるようになっています。
でも実は、「気圧でメンタルが落ちる」その裏には、意外な身体の部位が深く関わっているのをご存知でしょうか?
今回は、低気圧うつの“隠れた原因”となる身体のパーツを3つご紹介します。「なんとなく不調…」に悩む方にこそ、知っていただきたい内容です。
目次
- 耳(内耳)|気圧センサーの誤作動で自律神経が乱れる
- ● 内耳は“気圧センサー”の役割をしている
- ● 内耳が敏感な人の特徴
- 腸|“第二の脳”がセロトニンを左右する
- ● 腸は“第二の脳”
- ● 低気圧が腸に与える影響
- ● 便秘・下痢・お腹の張りも要注意サイン
- 胸(胸郭・姿勢)|呼吸の浅さが脳の酸欠を引き起こす
- ● 気圧が下がると空気中の酸素も減る?
- ● 姿勢が悪いとさらに呼吸が浅くなる
- あなたはいくつ当てはまる?セルフチェックリスト
- 今日からできる!低気圧うつを防ぐ3つのセルフケア
- 1. 耳まわりのマッサージ&温め
- 2. 腸内環境を整える食生活
- 3. 姿勢と呼吸を整える「胸ひらきエクササイズ」
- おわりに:低気圧=気分が落ち込むもの、とあきらめないで
耳(内耳)|気圧センサーの誤作動で自律神経が乱れる
まず注目したいのは、意外にも「耳の奥(内耳)」です。
● 内耳は“気圧センサー”の役割をしている
私たちの耳の奥には、平衡感覚を司る「三半規管」と「前庭」があります。これらの器官は、気圧や重力の変化を敏感に感知するセンサーのような役割を持っています。
ところが、低気圧になるとこのセンサーが誤作動を起こしやすくなり、自律神経に過剰なストレス信号を送ってしまうことがあります。その結果、以下のような不調が出やすくなるのです。
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頭痛やめまい
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吐き気
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眠気やだるさ
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気分の落ち込み、不安感
● 内耳が敏感な人の特徴
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乗り物酔いしやすい
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飛行機やエレベーターで耳が痛くなる
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天気が悪いと偏頭痛が起きやすい
これらの傾向がある方は、内耳が過敏になっている可能性大。低気圧によって自律神経が乱れやすく、「気圧うつ」になりやすい傾向があります。
腸|“第二の脳”がセロトニンを左右する
続いて注目したいのが「腸内環境」です。
● 腸は“第二の脳”
腸は、脳とは別に神経細胞が多数存在しており、感情やストレス反応と密接に関係しています。そのため、「第二の脳」と呼ばれることもあります。
特に重要なのが、**幸せホルモン「セロトニン」**の存在。実は、セロトニンの約90%は脳ではなく腸で作られているのです。
● 低気圧が腸に与える影響
低気圧によって自律神経が副交感神経優位になると、腸の動きが鈍くなったり、ガスがたまりやすくなったりします。また、ストレスや睡眠不足などの条件が重なると、腸内細菌のバランスが崩れやすくなるため、セロトニンの分泌が減少 → 結果的に気分が沈みやすくなるのです。
● 便秘・下痢・お腹の張りも要注意サイン
気分の落ち込みと同時に、以下のような腸の不調がある方は要注意です。
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天候が悪いと便秘気味になる
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ストレスがかかるとお腹を下しやすい
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食後すぐに膨満感がある
腸の状態はメンタルと直結しています。腸が元気でないと、「なんとなく元気が出ない」状態が長引くのです。
胸(胸郭・姿勢)|呼吸の浅さが脳の酸欠を引き起こす
3つ目の意外なカギは「胸=胸郭の硬さや呼吸の質」です。
● 気圧が下がると空気中の酸素も減る?
低気圧のときは、空気中の酸素分圧がわずかに低下します。すると、呼吸が浅くなりがちで、結果として脳への酸素供給量も減少します。
酸素が不足すると、脳の活動レベルが下がり、以下のような症状を引き起こしやすくなります。
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集中力の低下
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倦怠感
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不安感やイライラ
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気分の落ち込み
● 姿勢が悪いとさらに呼吸が浅くなる
特に、スマホやデスクワークで姿勢が崩れた状態(猫背・巻き肩)になっていると、胸郭が固まりやすくなります。これにより呼吸の可動域が狭まり、酸素摂取量が減少。その状態が続くと、「なんとなくやる気が出ない」「不安で落ち着かない」といった症状が現れやすくなります。
あなたはいくつ当てはまる?セルフチェックリスト
低気圧うつの“隠れ体質”をチェックしてみましょう。
✅ 雨の日や曇りの日になると気分が下がる
✅ 頭痛・めまい・耳鳴りが出やすい
✅ 乗り物酔いしやすい
✅ お腹の張りや便秘・下痢をしやすい
✅ 姿勢が悪いと言われたことがある
✅ 呼吸が浅い・ため息が多い
✅ 朝スッキリ起きられない
3つ以上当てはまった方は、低気圧うつの体質を持っている可能性があります。
今日からできる!低気圧うつを防ぐ3つのセルフケア
1. 耳まわりのマッサージ&温め
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耳を軽く引っ張って前後に回す
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耳の裏を指圧・マッサージする
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ホットタオルやカイロで首〜耳を温める
耳周辺の血流を促すことで、内耳のセンサーの働きが安定しやすくなります。
2. 腸内環境を整える食生活
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発酵食品(味噌・ヨーグルト・納豆)
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食物繊維(野菜・海藻・玄米)
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水分補給(1日1.5~2Lを目安に)
腸が元気になることで、セロトニンの生成量がアップし、心も元気になりやすくなります。
3. 姿勢と呼吸を整える「胸ひらきエクササイズ」
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背筋を伸ばして立つ
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両手を後ろで組み、胸を開くようにして深呼吸
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5回ゆっくり呼吸したら、手をほどく
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肩をすくめてストンと落とす動作も効果的
このように胸郭を開き、深い呼吸を促すことで、脳への酸素供給が回復し、リラックスモードに入りやすくなります。
おわりに:低気圧=気分が落ち込むもの、とあきらめないで
「雨だから仕方ない」「気圧のせいだから何もできない」
…そんなふうに思ってしまう気持ちもよく分かります。
でも、低気圧うつは、きちんと“身体”から整えていくことで改善が見込める不調です。
今回ご紹介した「耳・腸・胸(呼吸)」のケアを意識するだけでも、徐々に体が反応しやすくなり、気分の波が穏やかになっていくはずです。
天気に左右されない毎日をつくるために、まずはできることから始めてみませんか?